date: | 2003-05-25 |
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幼稚園時代のある日、先生は園児たちにカルピスを飲ませてくたのだが、飲んでいる途中で飲み干すことができないことに気づいた。私は、出されたものを残してはならないと、躾けられていた。据え膳食わぬの男の恥、というやつである。
そこで、カルピスを飲まなかったことを隠そうとした。教室から出ずに、自分で飲むことなく、コップのカルピスを消滅させる必要があったのだ。私は、全部飲んだふりをし、幼稚園かばんの中にコップをしまい込んだ。私の愚行に気づいた者はいなかった。
しかし、かばんの中の出席手帳はカルピス浸しになり、夏の気温はかばん内部で発酵を誘発していた。おかげで私の出席手帳は、卒園するまで波打っていた。
こういう事態を避けるのは簡単で、隠すようなことをしなければよい。物を壊したこと、失禁したこと、まゆみちゃんが好きなことなどを、正直に話すようになった。私は2つの点で恵まれていた。ひとつはまゆみちゃんの親御さんが私の親と知り合いでなかったこと。もうひとつは夢精したことがないことである。