くつろぎ珈琲

date:2001-10-11

くつろぎたいな、という動機だけで、その店に入りました。家の近くの、コーヒーの飲める小さな店です。閉まっている時に中を覗いてみると、カウンターといくつかのテーブルがあって、カウンターの黒板には、私が知らないコーヒーの名前が書かれていました。コーヒー好きなので、以前から、入りたいとは思っていたのです。細かい味の違いや、銘柄などは分かりませんが、自動販売機の紅茶が売り切れていたら、十中八九コーヒー選ぶくらい、私はコーヒーが好きです。

にも関わらず、喫茶店に1人で入ることができませんでした。おそらく普段の自分には、喫茶店やコーヒーショップに入るような雰囲気がないからだと思います。例外として別人に成りすましているときには、入ることができます。就職活動をしていたときは、普段は着ることのないスーツを着ていたので、1人で喫茶店に入ることができました。

そんなわけで、まったく普段着で、まったく誰に成りすますわけでもなく、たまには外でコーヒーでも飲んでくつろぎたい、という程度の動機で、その店に入ったのは、自分でも驚くようなことなのです。

「今日のコーヒー」は、私の知らない飲み物でしたが、好奇心もあって、それを頼みました。チューチューチーノと呼ばれるそれは、ココア味のシェイクの上に生クリームをのせた、冷たい飲み物でした。私は、チューチューチーノを受け取り、席について物思いにふけりました。

カウンターの中では、ブラッド・ピット似の店員さんが、相変わらずせっせとコーヒーを入れています。

DJ がうるさくないラジオが流れていて落ち着いた感じです。店内は思ったより明るくて、閉店中の雰囲気とは違いました。学生の客が多くても、騒々しくありません。教科書を読んだり、宿題をしたり、ときどき、軽く議論をしながら。右隣の男性は、えらくたくさんの新聞を読んでいます。

左隣の女性が「このコーヒーおいしいよ。オススメ」と気さくに話しかけてきます。何冊かの本とペンを持っていて、これから腰を落ち着けて読書をするのだと言いました。また、先週末はどう過ごしたという話も聞かせてくれました。それから、娘さんが今年から大学生になったという話も。

話が一段落したところで、私は席を立ちました。挨拶をして、店を出て、家に帰りました。それから、コーヒーを飲んでくつろぎました。

Previous topic

さじ加減

Next topic

理解の確認

This Page