date: | 2002-10-19 |
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日本人をやっていると、不幸自慢に遭遇することがあります。苦労して有名大学に受かったとか、女手ひとつで 8 人の息子を育てあげたとか、地道に研究を続けてノーベル賞を獲得したとか。そういう話は、めったにない話だからこそ、聞いてもらえるという事実を忘れてはいけません。泣き落としは日本国内でしか通用しないという噂もあります。
ところが、ありきたりな人生を歩んできた私は、不幸自慢大会になると困ります。珍しくもなんともないので、涙してくれる人がいないわけです。中間テストで赤点を取らないよう頑張ったけど赤点だったとか、彼女いない歴が年齢と同じであるとか、モーニング娘。のオーディションに応募したけれど落ちたとか。
最初に、日本人をやっていると、などと書いてしまいましたが、何様のつもりかと言われそうです。実際、私は誰かに頼まれて日本人をやっているとわけではなくて、たまたま日本人だったわけです。他に貰い手はありません。ですので、日本人やめていいよ、とか言われると非常に困るわけです。
しかし、書いてしまったものは仕方ありません。ただ、日本人を破門になる前に、少しだけ猶予を頂きたい。日本海側をふらふら歩いて、ばったり出会った拉致団に亡命の意志があることを伝えるわけです。「お前なんか要らないあるよ」と言い張られるかも知れませんし、「イングリッシュ・プリーズ」と言われ絶句するかも知れません。それでも私は諦めません。憐れな半生を聞かせて、泣き落とす魂胆です。