date: | 2001-12-02 |
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目を覚ますと、一時間十分寝過ごしていたのだと、時計が教えてくれました。遅くまで、チャットなんかしなければよかった、と後悔するばかりです。
私が入っていた研究室では、毎年12月24日が大掃除の日でした。普通なら非難が相次ぎそうな日程です。所属している学生の顔や、目の前の鏡を見れば、こんな日程がまかり通っていたのも、なんとなくわかるというものです。
誰がどこを掃除するということは、特に決めません。学部生も院生も、仲良く、適当に、目に付いたところから綺麗にしていくわけです。ただし、遅刻した私は、もっとも汚れがひどい水まわりの掃除を命じられました。長期間、放置された排水口は、ぬるぬるしていて、何が出てくるか分からないので、ゴム手袋を買ってきました。
遅刻者には、近くの居酒屋へ繰り出してからも、罰ゲームが用意されます。隣のテーブルが女性客だと、つい茶目っ気を出してしまうもので、上半身裸になり、割り箸を無駄使いして作った十字架をかつぎます。「キリスト?」「イエス」
店をつまみ出された私は、薄暗く凍えた道路沿いの自動販売機で、熱い缶コーヒーを買おうと、かばんの中の財布を探りました。すると、手袋ではないほうのゴム製品が出てきたのです。しまった。小さな叫び声が漏れます。恋人との約束をすっかり忘れていました。柄にもなく、恋人を持ったりするから、こういうことになるのでしょう。あるいは、遅刻してペースを崩したのがいけなかったのかも知れません。後悔が口をついて出てきました。チャットなんかしないで、もっと早くに、眠りに就くのだった。