金をつぎ込む

date:2002-01-15

履歴書やアンケートに、趣味の欄があると、ものすごく困ります。趣味がないからです。無趣味とほぼ同義として解釈されがちな、読書、音楽鑑賞、映画鑑賞すら、たしなみません。この1年で読んだ本は1冊、見た映画は1本、買ったCDは0枚です。

20歳になったばかりの頃は、トライアスロンが趣味でした。しかし、今の私の体は、決してアスリートのものではありません。おっさんがひとり、という感じです。だいたい、自転車通行禁止の道路が縦横無尽に走り、山がまったくないような、この土地で、自転車にお金をかけたくありません。

そこそこ収入のあるおっさんなら、キャバクラや風俗に金をつぎ込むこともできるでしょう。以前、ニュー・オリンズに出張に行ったとき、先輩に誘われてストリップ・ショーを鑑賞しました。先輩は「ここのストリッパーはプロだからね。俺たちの町のストリップなんて、所詮、学生がアルバイトでやってるんだから、大したことないよ」と言いました。個人的には「学生」というキーワードに惹かれますが。いずれにしても、ストリップに通いつめるほどの、収入と、精力はありません。

ところが先日、ゲームセンターの前を通りかかったとき、私は、固まってしまいました。こんな田舎に、ダンス・ダンス・レボリューションがあるのです。これを作っているコナミと言えば、私が危うく入社試験を受けようかと思ったことのある企業です。ぎりぎりのところで、身の程をわきまえて履歴書を送りつけたりはしませんでした。

私は、よろよろと筐体に近づきました。説明は全て韓国語で書かれていますが、そんなことは問題になりません。過去に、何十万円もつぎ込んだゲームです。遠巻きに、そして、やや引き気味に私を見ている学生たちを尻目に、私は我を忘れて踊りました。私は、コナミからお金を受け取るのではなく、コナミにお金をつぎ込むのが似合っているようです。

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