date: | 2003-10-12 |
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騒ぎがはじまったのは、雨雲が低くたれこめた週末の午後です。提出期限の迫った宿題を片付けようと、大学に出てきていました。せっかくの週末を、数十ページに渡って数式を展開することに費やしていたのです。展開するばかりで、解答に収束する様子はありませんでしたが。
と、突然、雷鳴が轟き、ざばーっと雨が振り出しました。あまり知られていないことですが、この町の電力会社には、雷雨の際、電力供給を停止するという特徴があります。1時間くらいはザラに。
私のオフィスは半地階に位置し、停電になると真っ暗で、勉強どころではありません。いい加減、頭もぼーっとしていて、あまり考えることもできません。仕方がないので、ノートと教科書をカバンに詰め込み、雷雨の中、傘をさして帰宅しました。
疲れ果てた私は、カーペットの上にごろんと転がり、そのまま寝る予定でした。ところが、私も知らなかったことですが、このアパートには、大雨になると浸水するという特徴があったようです。さすがの私も、飛び起きて部屋のものを移動させました。本棚、衣類、ふとん、その下のエロ本の順に避難させます。部屋を見渡すと、寝そべっていた位置に、何か置いてあります。宿題ノートが水の泡になっていました。